渡島地方の松前神楽

松前町 松前神社 本祭

数年前から、訪問させてもらっている神社であるが、今年も訪問させてもらった。
松前城の中にある神社で、松前城の前にある神社である。祭神は、松前氏の先祖・武田信廣(たけだのぶひろ)公である。コシャマインとの戦いで活躍し、上ノ国館主の蠣崎季繁の養子となり蠣崎氏を名乗り、5代目慶廣に時に「松前」氏を名乗り松前藩が成立し、以後幕末まで続いた。松前町の礎を築いた人が、この神社の祭神である。
この神社の前は、松前城であり城と神社の間にある広場付近が、城内神楽として行われた時に手合わせしたと言われる「槍の間」の跡地である。
昨夜宵宮祭であったが、姥神大神宮の宵宮祭に行っていたので訪問できず。
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松前神社
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松前城内にある神社ということもあって、個人的に好印象な神社である。
松前町にある神社で訪問したことのある神社は、ここと清部くらいだろう。他は関心ない訳でもないが、よく調べて訪問してみたいと思う。
鎮釜湯立式も行われ、この神事が終わると、お湯の中にお神酒を入れ笹湯がふるまわれた。この笹湯を飲むとこの1年、風邪を引かないなどいわれている。鎮釜湯立式は、松前神楽の中に含まれている神事である。松前神楽は、湯立の神事十二座と、舞楽の二十一座で、全て三十三座からなっている。
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鎮釜湯立式
今回奉奏された松前神楽は、榊舞(さかきまい)、神遊舞(かんあそびまい)、荒馬舞(あらうままい)、翁舞(おきなまい)、注連祓舞(しめはらいまい)、数年訪問してここで見られるとは思わなかった、御稜威舞(みいつまい)、獅子舞五方(ししまいごほう)、獅子舞・面足獅子(ししまいもたりしし)の6座が行われた。御稜威舞(みいつまい)は、獅子舞の中の一部で、獅子舞の最初に行われる舞いである。流れとしては、獅子舞・五方、獅子舞・鈴上げ、獅子舞・面足獅子(もたりしし)と続き、獅子舞のフルコースだけでも1時間ほど軽くかかる壮大な舞いである。
弊帛舞(みてくらまい)、榊舞(さかきまい)、祝詞舞(のりとまい)ともいう。
その神社の宮司が朝夕玉垣内に参進して、神域を祓い清め、神拝して御幣を奉るという。神職の神明奉仕の姿を表した舞いである。函館と近郊の町で行われる際には、松前神楽奉納となる時、斎主(その神社の宮司)が最初に舞われる舞いである。
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弊帛舞(みてくらまい、榊舞・祝詞舞ともいう)
神遊舞(かみあそびまい)、天皇遊舞(てんのうあそびまい)ともいう。
二人の武人が弓矢を持ち、四方の悪魔を退散し、正しい心に返す意味の舞で、松前藩の威徳を内外に示し、蝦夷地鎮定、天下泰平を祈願した舞である。この舞は、松前藩主6代矩広(のりひろ)公の作品だと伝えられている。
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神遊舞(かみあそびまい、天皇遊舞ともいう)
荒馬舞(あらうままい)、松前遊(まつまえあそび)、正前遊舞(しょうぜんあそびまい)ともいう。城内神楽の神楽修行の際に、たまたま藩主の機嫌が悪くこれを直さんと考え馬が好きな藩主の為に、馬術の様子を即興的に創り演舞したところ大変喜び、機嫌を直したという。
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荒馬舞(あらうままい、松前遊、正前遊舞ともいう)
翁舞(おきなまい)は、面白く背が高く心柔和な老翁が、額にしわがよっても身体堅固で幾星霜を経る間に、身分が高い位に登った姿で、舞中に願意を言葉に表し、息災延命、立身出世を祝って舞う福禄寿の備わった最も目出度い舞いである。
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翁舞(おきなまい)
注連祓舞(しめはらいまい)、〆引(しめひき)、七五三祓舞(しめはらいまい)ともいう。白扇を四方四隅中央を祓い、真剣を抜き天井に十文字の縄を張った注連縄を切り払い、悪魔退散、国土安穏、千秋万歳を祝して舞う。
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上2点 注連祓舞(しめはらいまい、〆引、七五三祓舞ともいう)
十二の手獅子舞・御稜威舞(じゅうにのてししまい・みいつまい)、獅子の上(ししのじょう)ともいう。白扇と真剣を使用し、悪魔退散、天下泰平を表した舞いである。
十二回手が変わるので、十二の手獅子舞と言われる云われている。1年十二ヶ月を形どり、獅子幕も十二反使用するを本格とするのである。
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上2点 十二の手獅子舞・御稜威舞(ししまい みいつまい)
五方とは、東西南北と正中を祓い固め蝦夷鎮定、国土安穏を祈る様を表している。
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十二の手獅子舞・五方(ししまい ごほう)
コミカルな楽に変わり猿田彦が登場し、暴猛な大獣獅子を手玉にとって遊び戯れ、平和な世の中を招く悪魔降伏の舞いである。相撲とったりはしない。
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上2点 十二の手獅子舞・面足獅子(じゅうにのてししまい・もたりしし)
ここで御稜威舞(みいつまい)が見られるとは思わなかった。御稜威舞(みいつまい)と五方を通して行い、だいぶ疲れが出ただろう。これからも、あまり行われない神楽舞が、公開されて行くことを願っているし、お願いしたいと思っている。
今回から解説も付けていこうと思う。ブログから神社まで足を運んで、生の松前神楽を体感してもらいたい。

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