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【松前町の神楽】清部八幡神社門祓神事・松前神楽奉納(平成31年)

2019年1月1日取材

毎年新年の恒例行事になりました、松前町清部(きよべ)地区にある、清部八幡神社の正月行事である「門祓神事(かどばらいしんじ)」と神楽奉納の取材です。元日の朝に門祓いがスタートしますので地元を出るのは、車で午前6時までには出ないと間に合わないのです。何とか間に合いました。

平成31年 松前町 清部八幡神社 新春門祓い01

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清部八幡神社・門祓神事

門祓いとは、神社の地区の家々の玄関先を塩を打ち、御幣二本、獅子頭のくちを開き尾っぽを振り回して、祓い清める神事です。
毎年この清部では、正月と例祭に門祓い神事を行われるようです。
午前8時くらいに出発していきますが、時たま時刻が遅れたり致します。情報を把握していればいいのですが、把握してなければこの鳥居をくぐる写真は撮影出来ないのです。

平成31年 松前町 清部八幡神社 新春門祓い02
鳥居から出てくる行列

平成31年 松前町 清部八幡神社 新春門祓い03

平成31年 松前町 清部八幡神社 新春門祓い04
鳥居をくぐる

神社行列は、地域の隅々を祓い清めて進行して行きます。先頭4名は、各家の玄関先を巡ります。

平成31年 松前町 清部八幡神社 新春門祓い05

家の玄関先に、まずは

1、塩打ち
2、1本目御幣
3、2本目御幣
4、獅子

という流れで、各家の玄関先を祓い清めて行きます。各家から、御散共(おさご)や初穂料を持って外で待っている方もいて、神社行列を迎えます。

平成31年 松前町 清部八幡神社 新春門祓い06
1本目御幣

平成31年 松前町 清部八幡神社 新春門祓い07
2本目御幣

平成31年 松前町 清部八幡神社 新春門祓い08
獅子

松前神楽奉納

毎年の行事で、門祓い終了後は拝殿にて、松前神楽が披露されます。年々参拝者が増えて来ているようにも感じられます。元日から神楽が見られる環境は、道南ではここだけかもしれません。

行われた神楽舞は、榊舞(さかきまい)、福田舞(ふくだまい)、二羽散米舞(にわさごまい)、兵法舞(へいほうまい)、山神舞(さんじんまい)、三番叟(さんばそう)、神遊舞(かんあそびまい)、四箇散米舞(しかさごまい)、十二の手獅子舞(じゅうにのてししまい)が行われました。

数年前から動画も撮影しており、YouTubeチャンネル「良き候北加伊道」も好評であります。感謝申し上げます。

榊舞

榊舞(さかきまい)、祝詞舞(のりとまい)、幣帛舞(へいはくまい)、みてくら舞とも云います。その神社の宮司が朝夕玉垣内に参進して、神域を祓い清め、神拝して御幣を奉るという、神職の神明奉仕の姿を表した舞いです。函館と近郊の町で行われる際には、松前神楽奉納となる時、斎主(その神社の宮司)が最初に舞われる舞いです。

平成31年 松前町 清部八幡神社 松前神楽披露 榊舞
榊舞

福田舞

福田舞(ふくだまい)、跡祓舞(あとはらいまい)とも云います。跡祓舞(あとはらいまい)は、宵宮祭で獅子舞を行わない神社で、一番最後に行うことから跡祓(あとはらい)とも云います。四方の神々を拝し、祓い清めて干ばつ、暴水、火難の災いを除き、五穀豊穣を祈願する舞いです。

平成31年 松前町 清部八幡神社 松前神楽披露 福田舞
福田舞

二羽散米舞

二羽散米舞(にわさごまい)、庭散米とも書き、鳥名子舞(とりなごまい)とも云います。鶏は天の岩戸開きに暗黒の世より光明の時を告げ、世の始まりに地を踏み固めた瑞鳥であるとされています。雌雄二羽の鳥形の冠を頭に冠し、羽根には雄は瑞雲つまり天を表し、雌は海の波を形どり地を表して、雌雄親しみ和合して、世の中が平和である様を表し、神の恵みの米をまき散らし、千五百秋の瑞穂の国の五穀豊穣を祝う舞いです。
平成31年 松前町 清部八幡神社 松前神楽披露 二羽散米舞
二羽散米舞

兵法舞

兵法舞(へいほうまい)は、松前藩の武威を及ぼし天下泰平を祈願する舞いで、最後に勝利した藩主が、敵の武器であった長刀を取り歓喜して一人にて舞い祝います。北海道の歴史を表現した舞いです。

平成31年 松前町 清部八幡神社 松前神楽披露 兵法舞
兵法舞

山神舞

山神(さんじん)舞は、奥山の榊葉を持ち山神を表し、海鳥のしぐさを真似て山神にご覧になってもらい、おなぐさめ申し上げるというものです。

平成31年 松前町 清部八幡神社 松前神楽披露 山神舞
山神舞

三番叟

三番叟(さんばそう)は、背が低く、顔が黒く、精力絶倫にして健康長寿、正道徳行の翁が、才智多い子孫に恵まれ自身もまた長寿であることを喜び舞う、家門の隆昌、子孫の繁栄を祝福した舞いです。

平成31年 松前町 清部八幡神社 松前神楽披露 三番叟
三番叟

神遊舞

神遊舞(かんあそびまい)、天王遊舞(てんのうあそびまい)とも云います。二人の武人が弓矢を持ち、四方の悪魔を退散し、正しい心に返す意味の舞で、松前藩の威徳を内外に示し、蝦夷地鎮定、天下泰平を祈願した舞です。この舞は、松前藩主6代矩広(のりひろ)公の作品だと伝えられています。
平成31年 松前町 清部八幡神社 松前神楽披露 神遊舞
神遊舞

四箇散米舞

四箇散米舞(しかさごまい)、三品舞、三種舞とも云います。この舞はお目出度い時、新鳥居や新社務所が建てた等のその神社で、お目出度い時に行われる舞いです。これは、南北海道だけの風習であるので、道南で見られるのは貴重であります。最初が、折敷の手(四角のマスのようなものを持つ)で、次は、弓、剣、太刀に続き、最後は3人で太刀を組んで行われる舞いです。

平成31年 松前町 清部八幡神社 松前神楽披露 四箇散米舞
四箇散米舞

十二の手獅子舞・五方

十二の手獅子舞・五方(じゅうにのてししまい・ごほう)十二回手が変わるというので、十二の手獅子舞と云われています。一年十二ヶ月を形どり、獅子幕も十二反使用するを本格とするのであると云われています。五方とは、東西南北と正中(真ん中)を祓い固め蝦夷鎮定、国土安穏を祈る様を表しています。

平成31年 松前町 清部八幡神社 松前神楽披露 十二の手獅子舞五方
十二の手獅子舞・五方

清部八幡神社門祓神事・神楽奉納 まとめ

国の指定を受けた「松前神楽」も指定から1年経とうとしております。これからも地域地域の松前神楽は、伝承されて行くと思われます。
何か対策なければ、松前町江良地区にあった保存会のように解散するということも考えられます。清部地区も工夫しながら現在まで伝承して行っているのは、素晴らしいことです。
今年も招待神楽の申し込みも行われなかったようです。非常に残念ですが、招待神楽の存在も知らせないで継続は難しいと思います。風習の風化を感じます。現代の郷土芸能の伝承の難しさを感じます。


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