2018年9月18日に取材
昨年、facebookよりメッセージをいただき、「祭りを見に来てください」という旨をいただきましたが、昨年は青森県弘前市での取材が重なりいくことが出来なかったので、今年訪問させてもらいました。
このブログも長く取材を重ねていて、このようにメッセージをいただくことが一番嬉しいですね。撮影している最中に、ブログ名を言われて、「いつも見ているよ」と言われたこともありまして、大変ありがたいことだと思います。出来るだけ訪問したいと思います。
松前神楽三十三座の中に入っている「鎮釜湯立式(ちんかまゆたてしき)」の祭壇です。
祭式の中に含めて行われているというのも「松前神楽」の特徴の一つです。通常、神楽舞は祭式終了時に行われますが、松前藩時代には祭式(祝詞や修祓などの所作)の合間に神楽舞が行われておりました。明治時代になり、松前藩時代から行われて来た形式は時代と共に変わって行きました。
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【宮川神社本祭】祭式
以下だいたいの流れは下記の次第にて行われて行きます。
・修祓(しゅばつ)ー 神職が神前に於て祓詞(はらいことば)を奏上し、大麻(おおぬさ)ですべてを祓い清める。
・開扉(かいひ)ー 御扉を開けます。
・献饌(けんせん)ー 神前にお供え物をする儀式。
・祝詞奏上(のりとそうじょう)ー 神職が神前に祝詞を奏上する。
・斎主玉串拝礼(さいしゅたまぐしはいれい)ー そこの宮司が務めてその斎主が神前に進んで玉串を奉りて拝礼します。
・玉串奉奠(たまぐしほうてん)ー 玉串は、この1年を祈ってその心を神に捧げるものです。
・松前神楽奏上 ー 鎮釜湯立式を行う所は、湯立神事を行い、その後に舞学を行います。
・撤饌(てっせん)ー お供え物を下げる儀式
・閉扉(へいひ)ー 御扉を閉めます。
・閉式の辞
ここでは、主に松前神楽の様子をご覧いただいております。
祭式の最初に行われる「修祓(しゅばつ)」
【宮川神社本祭】鎮釜湯立式
鎮釜湯立式(ちんかまゆたてしき)は、松前神楽三十三座の中の十二座が含まれております。全て見たことはありませんが、だいたい通常に行われているものそうでないものとあります。
ここでは鎮釜湯立式(ちんかまゆたてしき)から行われる所なので、この神事から松前神楽に入ります。
鎮釜湯立式とは、鎮火祭という火を鎮める神事です。釜でお湯を焚きホムスビノ神とミズハノメノ神をお祭りし、火(霊)を祓い清め、釜に向かい神歌を奏で鎮釜・鎮火を行います。また、湯笹で四方を拝し祓い清め除災招福を修します。この笹湯は祓われて外症状を治し、飲んで内症状を良くすると言われております。また、作物・漁獲量の吉凶を占う神事であり、松前神楽三十三座の中に十二座入っている神事です。
鎮釜湯立式「釜清」
鎮釜湯立式「祝詞」
鎮釜湯立式「湯立て」
鎮釜湯立式「湯上げ」
【宮川神社本祭】松前神楽舞楽
鎮釜湯立式がおわると、舞楽に入ります。行われた神楽舞は、榊舞(さかきまい)、鈴上舞(すずあげまい)、二羽散米舞(にわさごまい)、千歳(せんざい)、三番叟舞(さんばそうまい)、翁舞(おきなまい)、山神舞(さんじんまい)、神遊舞(かんあそびまい)、注連祓舞(しめはらいまい)、十二の手獅子舞(じゅうにのてししまい)の十座が奏上されました。
【松前神楽】榊舞(さかきまい)
幣帛舞(みてくらまい)、榊舞(さかきまい)、祝詞舞(のりとまい)とも云います。その神社の宮司が朝夕玉垣内に参進して、神域を祓い清め、神拝して御幣を奉るという、神職の神明奉仕の姿を表した舞いです。函館と近郊の町で行われる際には、松前神楽奉納となる時、斎主(その神社の宮司)が最初に舞われる舞いです。
【松前神楽】鈴上舞(すずあげまい)
鈴上舞(すずあげまい)、神子舞(みこまい)、乙女舞(おとめまい)とも云います。天女の天降るさまを舞う神子(みこ)の祝福の舞いです。
【松前神楽】二羽散米舞(にわさごまい)
二羽散米舞(にわさごまい)、庭散米とも書き、鳥名子舞(とりなごまい)とも云います。鶏は天の岩戸開きに暗黒の世より光明の時を告げ、世の始まりに地を踏み固めた瑞鳥であるとされています。雌雄二羽の鳥形の冠を頭に冠し、羽根には雄は瑞雲つまり天を表し、雌は海の波を形どり地を表して、雌雄親しみ和合して、世の中が平和である様を表し、神の恵みの米をまき散らし、千五百秋の瑞穂の国の五穀豊穣を祝う舞いです。
【松前神楽】千歳(せんざい)
千歳(せんざい)は、百千歳の歳を重ねた老翁が、大君より長寿を祝福され、目出度い文箱を賜ったので、喜びの余り、手の舞い、足の踏むところ知らず舞い納めます。身体強健、寿命長久を祝した舞いです。
【松前神楽】三番叟舞(さんばそうまい)
三番叟(さんばそう)は、背が低く、顔が黒く、精力絶倫にして健康長寿、正道徳行の翁が、才智多い子孫に恵まれ自身もまた長寿であることを喜び舞う、家門の隆昌、子孫の繁栄を祝福した舞いです。
【松前神楽】翁舞(おきなまい)
翁舞(おきなまい)は、面白く背が高く心柔和な老翁が、額にしわがよっても身体堅固で幾星霜を経る間に、身分が高い位に登った姿で、舞中に願意を言葉に表し、息災延命、立身出世を祝って舞う福禄寿の備わった最も目出度い舞いです。
【松前神楽】山神舞(さんじんまい)
山神(さんじん)舞は、奥山の榊葉を持ち山神を表し、海鳥のしぐさを真似て山神にご覧になってもらい、おなぐさめ申し上げるというものです。
【松前神楽】神遊舞(かんあそびまい
神遊舞(かんあそびまい)、天王遊舞(てんのうあそびまい)とも云います。二人の武人が弓矢を持ち、四方の悪魔を退散し、正しい心に返す意味の舞で、松前藩の威徳を内外に示し、蝦夷地鎮定、天下泰平を祈願した舞です。この舞は、松前藩主6代矩広(のりひろ)公の作品だと伝えられています。
【松前神楽】注連祓舞(しめはらいまい)
注連祓舞(しめはらいまい)、〆引(しめひき)、七五三祓舞(しめはらいまい)とも云います。白扇を四方四隅中央を祓い、真剣を抜き天井に十文字の縄を張った注連縄を切り払い、悪魔退散、国土安穏、千秋万歳を祝して舞われる舞いです。
【松前神楽】十二の手獅子舞(じゅうにのてししまい)
十二の手獅子舞・五方(じゅうにのてししまい・ごほう)十二回手が変わるというので、十二の手獅子舞と云われています。一年十二ヶ月を形どり、獅子幕も十二反使用するを本格とするのであると云われています。五方とは、東西南北と正中(真ん中)を祓い固め蝦夷鎮定、国土安穏を祈る様を表しています。
十二の手獅子舞・獅子の鈴上(じゅうにのてししまい・ししのすずあげ)獅子の手に鈴を持ち、鈴を振りつつ神の心をお慰めして、「神威あまねく点火に伊照り輝きけり」を祝う舞いです。
十二の手獅子舞・面足獅子(じゅうにのてししまい・もたりしし)本来、御稜威舞、獅子の鈴上、五方と続き、コミカルな楽に変わると猿田彦が登場します。鎮まっていた獅子を手玉にとり、遊び戯れて平和な世の中を招く悪魔降伏ということです。
【宮川神社本祭】松前神楽 まとめ
初めて訪問させてもらいました。松前神楽は見ている方も楽しく、道南の祭りには欠かせない神楽です。この度、国指定のお墨付きをいただきより一掃に神社に参拝して、松前神楽を見ていただければと思います。
昨年の嬉しい問いかけに応えることができず、1年越しでありましたが訪問できたことを嬉しく思います。
ありがとうございました。