渡島地方の松前神楽

松前町 原口八幡神社 新年門祓い・歳旦祭(平成24年)

南北海道の正月の門祓い・神楽の旅も4日目(2012年1月4日(水))を迎えて、少々疲れております。正月にこれだけの神楽を見られる機会があるだけでも、まだ幸せなのかなと思われます。

今回行く所は初めて行く所です。元旦の松前町清部地区から更に、上ノ国町方面に国道を進むこと約10km程にある、原口地区であります。場所がわからないので元旦に、場所を確認して来ました。車がやっと1台通れる道の先に、原口八幡神社がありました。
松前神楽の保存会というのは、神職が中心になっているのが中心になっております。松前神楽は、御城神楽(城内神楽)と、城外の神社で行われた歴史を持っており、主に神職が行ってきました。函館、松前、福島、後志(小樽・岩内・仁木・喜茂別・寿都・せたな・京極・鬼鹿等)の神職が主に組織しています。

明治の廃藩置県以後、神楽は城内では行われず、神職は各地に離散していきました。御城神楽(城内神楽)内で行われた神楽を民間の青年や地元の人に教え始めて、松前神楽はある一部の人にも広がりました。松前町で地元の人で行われる松前神楽保存会を持っているのが、元旦に訪れている「清部地区」と「江良地区」「原口地区」の3カ所でした。現在も、「江良地区」の松前神楽保存会は、存続の話を聞いたことがありません。「原口地区」では噂ではありますが、したりしなかったりという状況だと言うことを聞いておりましたので、あえて取材はしておりませんでした。取材も北限の松前神楽であります「鬼鹿地区」もしており、残るは情報もあまりしっかりしていない、松前町の残りの保存会ということで、問い合わせをして関係者に聞くと、毎年1月4日に門祓いと神楽を奉納しているということだったので、取材することにしました。

原口八幡神社
原口八幡神社 門祓い出発

原口八幡神社 門祓い
門祓い行列

原口八幡神社 門祓い 獅子
門祓い 獅子

門祓いではお米やお金をいただくのですが、ここではニシン漁でよく見る「モッコ」に入れてもらうのだそうです。ここでも過去のニシン漁の道具が出て来て、神楽との関連を想像させます。
原口八幡神社 門祓い
門祓い モッコに入れてもらう
  
門祓いの風景を動画にて撮影しましたので、ご覧ください。

門祓いが神社に戻り少し時間があり、氏子総代さん、神楽会会長さんと神楽の話を聞きました。どうにも楽人があまり育たないようで、高校生になると町から離れる人が多いので継続が難しくなって来ているようです。
歳旦祭・厄祓いの神事となり、終了後に神楽奏上となりました。
 
行われた神楽舞は、榊舞(さかきまい)、福田舞(ふくだまい)、十二の手獅子舞・五方・面足獅子(じゅうにのてししまい・ごほう・もくたりしし)の三座が奏上されました。宮司が舞うのは、榊舞(さかきまい)のみで、後の2座は、原口八幡神社松前神楽会が奏上しました。
榊舞(さかきまい)、幣帛舞(みてくらまい)、祝詞舞(のりとまい)とも云います。
 
その神社の宮司が朝夕玉垣内に参進して、神域を祓い清め、神拝して御幣を奉るという、神職の神明奉仕の姿を表した舞いであります。函館と近郊の町で行われる際には、松前神楽奉納となる時、斎主(その神社の宮司)が最初に舞われる舞いであります。
松前神楽 榊舞
榊舞(さかきまい)
 
福田舞(ふくだまい)、跡祓舞(あとはらいまい)とも云います。跡祓舞(あとはらいまい)は、宵宮祭で獅子舞を行わない神社で、一番最後に行うことから跡祓(あとはらい)とも云います。四方の神々を拝し、祓い清めて干ばつ、暴水、火難の災いを除き、五穀豊穣を祈願する舞いであります。
松前神楽 福田舞
福田舞(ふくだまい)
 
十二の手獅子舞・五方(じゅうにのてししまい・ごほう)
十二回手が変わるというので、十二の手獅子舞と云われています。一年十二ヶ月を形どり、獅子幕も十二反使用するを本格とするのであると云われています。五方とは、東西南北と正中(真ん中)を祓い固め蝦夷鎮定、国土安穏を祈る様を表しています。
松前神楽 十二の手獅子舞 五方
十二の手獅子舞・五方(じゅうにのてししまい・ごほう)
 
コミカルな楽に変わり猿田彦が登場し、暴猛な大獣獅子を手玉にとって遊び戯れ、平和な世の中を招く悪魔降伏の舞いです。
猿田彦が、肌着を獅子に食べさせ始めました。後ほど聞くと、神社にいらっしゃらない方の肌着を獅子に厄祓いという意味で獅子に食べてもらい、厄を祓っているということでありました。初めて見た光景でしたので、何か意味があるのだろうと思っていましたが、そのような意味だったとは知りませんでした。
松前神楽 十二の手獅子舞 面足獅子
十二の手獅子舞・面足獅子(じゅにのてししまい・もくたりしし)
 
今回初めて訪問させてもらった上、いろいろと教えていただき感謝であります。
担い手不足で、神楽の座数が行われないというのが少々悔しいように見えました。原口に神楽を指導したのは、代々神職の佐々木友作氏だそうで、御城神楽はもちろんのこと神楽三家(白鳥・永井・佐々木)のうちの佐々木家からの伝承された神楽であるということを、総代と神楽会会長からの語りから誇りを感じられました。
ほとんどの松前神楽保存会の取材を一通り取材出来ました。
やはり皆、地元に根付いた神楽を誇りに思っていて、それぞれ伝承されなんとか維持されている様を見ると、継続していて欲しいと願わざるを得ないです。今年の例祭にも神楽を行うようなので、時間が許せば取材したいと思います。

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