謎の多い松前神楽の知識ですが、鎮釜湯立の神事も松前神楽に含まれています。
この鎮釜湯立式もあまり詳しく知らないこともあり、松前神楽に詳しい宮司数人に聞いてみました。
鎮釜湯立式(ちんかまゆたてしき)とは?
「松前御神楽式」という神楽式がありその中に、鎮釜湯立式と舞楽が分かれており、舞楽は、いつもこのブログで紹介している神楽舞の写真です。行なわれている座数を写真で撮影したいを考案中で、現在行なわれていないものもあり十二座の中から数座省略されております。
鎮釜湯立式 十二座について
松前御神楽式で行なわれていた、「鎮釜湯立式」の十二座は、下記の通りです。(福島大神宮記録より分類)
惣神拝(そうしんぱい)
修祓(しゅばつ)・開扉・献饌(行列の曲)
四方拝(しほうはい)
四方の神々、四方の国々を拝する行事。
神楽初(かぐらそめ)
神前に奏上する序楽。
釜清(かまきよめ)
鎮火祭・斎場に火を焚き釜を据え火(霊)を祓い清める。
正神楽(しょうかぐら)
神楽初と同様神前に於ける奏楽。
注連脱(しめぬき)
斎主の身にしめ縄を掛けて祓を修する厳儀。
祝詞
斎主の祝詞奏上
遊拍子(ゆびょうし)
祝詞後に奏される祈願祈祷の奏楽。
湯立
釜に向かい神歌を奏し鎮火、鎮魂を行う。
湯上
湯笹にて四方を拝し祓い清め除災招福を修する。
恵美須加持(えびすかじ)
「おみくじ」を取り、その年の漁・作の吉凶禍福を占う。
合計十二座です。
この中、現在も行なわれているのが、おおまかに見て「釜清」「正神楽」「祝詞」「遊拍子✳︎」「湯立」「湯上」と行われているようです。
「遊拍子(ゆびょうし)」は、行われていない所も多く見られます。
何故、省略されたのであろうか?
この「松前御神楽式」は、松前藩時代の祭式であり明治維新となり時代が変わり、藩内で行なわれて来たこの祭式は行なわれなくなりました。明治40年頃に神社祭式が統一された時からであろうと言われます。祭式の時間がかかるという理由等で縮小され、現在に至っているということです。
写真で見る 釜清(かまきよめ)
下の写真は、「釜清」。以下、写真で現在行なわれている鎮釜湯立式の風景です。
鎮釜湯立式の始まりは、「神楽初(かぐらそめ)」奏楽だけで行なわれ、「釜清(かまきよめ)」に入ります。
神歌と御幣を振り、塩を釜に向けて振り、祓い清めます。
写真で見る 湯立(ゆたて)
「釜清」が終わると、「祝詞」そして「湯立」に入る。
釜に笹を入れ、撹拌し、湯の状態を見たりする。
釜が1つだったり、2つだったりするが、本来3つで行なわれるらしく、松前ではそういわれている。
鎮釜湯立式(湯立・本別稲荷神社)
写真で見る 湯上(ゆあげ)
「湯立」が終了すると、「湯上」である。四方を拝し祓い清め除災招福を修する。
鎮釜湯立式(湯上・尻岸内八幡神社)
鎮釜湯立式 まとめ
現在の「鎮釜湯立式」はこのように行なわれています。全てに意味があると思われるが、おおまかに紹介させてもらいました。
神社のお祭り「本祭」に鎮釜湯立式を多く見られますが、参詣者に向けて説明があまり行なわれていない。
松前で撮影された「鎮釜湯立式」の動画を見させてもらった。「庭上式(外で行われている鎮釜湯立式)」と「殿内式(拝殿内で行なわれている鎮釜湯立式)」と行われたものを拝見できました。2パターンが存在したようで、興味深く拝見できました。
今回は「鎮釜湯立式」の内容について紹介致しました。