渡島地方の松前神楽

平成25年 北斗市・上磯八幡宮本祭

2013年10月5日に取材

毎年ではない感じで、神社の例祭巡りをしていますが、毎年行ける所や行けない所が出てきます。
こちらのスケージュルの問題や仕事との兼ね合いもあります。「毎年行こう」と思う所は、気になる神社であったり、「見ておきたい」と感じる所で、スケージュルを合わせています。

松前神楽を拝見する上で選ぶ基準は、まず歴史的重要性、見ていて神楽の良い所、座数(演目)が多い所等考慮して訪問しております。
上磯八幡宮は、「松前神楽」を語るにも重要な所として認識しております。現在の「函館風」の基となる人の末裔がいらっしゃいます。

森稲荷神社の小島仁太郎(昭和十一年に七十五歳で没)・上磯八幡神社の村田義徳(昭和五年に六十五歳で没)の二人は、明治十五〜二十年頃に佐々木安貫の指導を受けて古来の神楽式を伝承している。これらの人たちによる創意工夫が「函館風」の現在の松前神楽で、各神社の祭式の都合によって舞と楽の構成を適宜に組替える方法を編み出し、楽の止め手、特に笛(小島正美)の曲の終止型など妙手が聞かれ「福山風(松前風)」といわれる松前方面の古典調と比べ、テンポの早い近代的な演出となっている。(「松前神楽」松前町教育委員会・松前神楽保存会著)

 
「小島仁太郎」さんの孫に当たるのが、上磯八幡宮の宮司さんであります。佐々木家からの神楽を継承し、「函館式」を作り出したという経過であります。
まずは、神事が終了しその後から松前神楽の「鎮釜湯立式」が行なわれました。
鎮釜湯立式とは、鎮火祭という火を鎮める神事であります。釜でお湯を焚きホムスビノ神とミズハノメノ神をお祭りし、火(霊)を祓い清め、釜に向かい神歌を奏で鎮釜・鎮火を行います。また、湯笹で四方を拝し祓い清め除災招福を修します。また、この笹湯は祓われて外症状を治し、飲んで内症状を良くすると言われております。作物・漁獲量の吉凶を占う神事であり、松前神楽三十三座の中に十二座入っている神事です。

上磯八幡宮 鎮釜湯立式 2013鎮釜湯立式

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今回の神楽舞は、榊舞(さかきまい)、鈴上舞(すすげまい)、二羽散米舞(にわさごまい)、千歳舞(せんざいまい)、三番叟舞(さんばそうまい)、翁舞(おきなまい)、神遊舞(かんあそびまい)、注連祓舞(しめはらいまい)、十二の手獅子舞・五方(じゅうにのてししまい・ごほう)、面足獅子(もくたりしし・通称・佐々良)の九座が行なわれました。
 
幣帛舞(みてくらまい)、榊舞(さかきまい)、祝詞舞(のりとまい)とも云います。
その神社の宮司が朝夕玉垣内に参進して、神域を祓い清め、神拝して御幣を奉るという、神職の神明奉仕の姿を表した舞いであります。函館と近郊の町で行われる際には、松前神楽奉納となる時、斎主(その神社の宮司)が最初に舞われる舞いです。

上磯八幡宮 松前神楽 榊舞 2013榊舞(さかきまい)

鈴上げ(すずあげ)、神子舞(みこまい)、乙女舞(おとめまい)とも云います。
鈴と扇を持ち、松前神楽の中で最も優雅な舞いです。天女の天降るさまを舞う神子(みこ)の祝福の舞いです。

上磯八幡宮 松前神楽 鈴上舞 2013鈴上舞(すずあげまい)

二羽散米舞(にわさごまい)、庭散米とも書き、鳥名子舞(とりなごまい)とも云います。
鶏は天の岩戸開きに暗黒の世より光明の時を告げ、世の始まりに地を踏み固めた瑞鳥であるとされています。雌雄二羽の鳥形の冠を頭に冠し、羽根には雄は瑞雲つまり天を表し、雌は海の波を形どり地を表して、雌雄親しみ和合して、世の中が平和である様を表し、神の恵みの米をまき散らし、千五百秋の瑞穂の国の五穀豊穣を祝う舞いです。この舞いは、舞楽の系統を引いています。

上磯八幡宮 松前神楽 二羽散米舞 2013二羽散米舞(にわさごまい)

千歳(せんざい)は、百千歳の歳を重ねた老翁が、大君より長寿を祝福され、目出度い文箱を賜ったので、喜びの余り、手の舞い、足の踏むところ知らず舞い納めます。身体強健、寿命長久を祝した舞いです。

上磯八幡宮 松前神楽 千歳舞 2013千歳舞(せんざいまい)

三番叟舞(さんばそうまい)は、背が低く、顔が黒い精力絶倫にして健康長寿、正道徳行の翁が、才智多い子孫に恵まれ自身もまた長寿であることを喜び舞う、家門の隆昌、子孫の繁栄を祝福した舞いです。

上磯八幡宮 松前神楽 三番叟舞 2013三番叟舞(さんばそうまい)

翁舞(おきなまい)は、面白く背が高く心柔和な老翁が、額にしわがよっても身体堅固で幾星霜を経る間に、身分が高い位に登った姿で、舞中に願意を言葉に表し、息災延命、立身出世を祝って舞う福禄寿の備わった最も目出度い舞いです。松前神楽の中で、一番舞いが難しいと云われている舞いです。

上磯八幡宮 松前神楽 翁舞 2013翁舞(おきなまい)

神遊舞(かんあそびまい)、天皇遊舞(てんのうあそびまい)とも云います。
二人の武人が弓矢を持ち、四方の悪魔を退散し、正しい心に返す意味の舞で、松前藩の威徳を内外に示し、蝦夷地鎮定、天下泰平を祈願した舞であります。この舞は、松前藩主6代矩広(のりひろ)公の作品だと伝えられています。

上磯八幡宮 松前神楽 神遊舞 2013神遊舞(かんあそびまい)

注連祓舞(しめはらいまい)、〆引(しめひき)、七五三祓舞(しめはらいまい)とも云います。白扇を四方四隅中央を祓い、真剣を抜き天井に十文字の縄を張った注連縄を切り払い、悪魔退散、国土安穏、千秋万歳を祝して舞われる舞いで、その神社の斎主(その神社の宮司)が舞う舞いです。切り祓われた紙垂(しで)は安産、火難除のお守りとされています。

上磯八幡宮 松前神楽 注連祓舞 2013注連祓舞(しめはらいまい)

十二の手獅子舞・五方(じゅうにのてししまい・ごほう)
十二回手が変わるというので、十二の手獅子舞と云われています。一年十二ヶ月を形どり、獅子幕も十二反使用するを本格とするのであると云われています。五方とは、東西南北と正中(真ん中)を祓い固め蝦夷鎮定、国土安穏を祈る様を表しています。

上磯八幡宮 松前神楽 十二の手獅子舞五方 2013十二の手獅子舞・五方(じゅうにのてししまい・ごほう)

十二の手獅子舞・面足獅子(じゅうにのてししまい・もくたりしし)
コミカルな楽に変わり猿田彦が登場し、暴猛な大獣獅子を手玉にとって遊び戯れ、平和な世の中を招く悪魔降伏の舞いであります。本来、相撲とったりはしません。

上磯八幡宮 松前神楽 十二の手獅子舞佐々良 2013十二の手獅子舞・面足獅子(じゅうにのてししまい・もくたりしし)

初めて直会に呼ばれて聞くと、来年大祭をするということであります。十一年振りに行なわれる大祭です。
数多くお祭りを取材しておりますが、上磯八幡宮の大祭の取材は初めてです。上磯奴が渡御するということで、非常に楽しみです。

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