渡島地方の松前神楽

2012年元旦 松前町清部地区 清部八幡神社 門祓い・神楽披露

2012年1月1日

謹 賀 新 年
あけましておめでとうございます
取材する数は少なくなると思われますが、南北海道の古い風習や行事も含めて、郷土芸能と共に紹介して行きたいと思います 今年も「良き候松前神楽」をよろしくお願いします

今年も、松前町清部地区の門祓いと神楽奉納を拝見しに行ってきました。
松前町で神楽保存会は、神職の行う神楽を除くと3つあり、一つはいつも取材している清部地区、江良地区、原口地区とあり、正月元日に門祓いを行うのは、清部地区、江良地区だそうで、神楽奉納をするのは、清部地区だけとなっています。もう一つの原口地区では、4日に門祓いと神楽奉納をしているようなので、今年は取材したいと思います。
松前町 清部八幡神社
清部八幡神社
今回は、短いですが動画でお楽しみください。


玄関先で、先頭は塩で清めて、御幣が2本が祓い清めて、獅子が口を開けて尾っぽを回して祓い清めます。
清部八幡神社 正月 門祓い行列
清部八幡神社 正月 門祓い行列
上2枚 門祓い
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門祓いを終わり、神社本殿内にて神楽奉納されました。今年は、町長もいらっしゃって清部の神楽を堪能しておりました。
今回行われた神楽舞は、榊舞(さかきまい)、福田舞(ふくだまい)、二羽散米舞(にわさごまい)、兵法舞(へいほうまい)、山神舞(さんじんまい)、三番叟(さんばそう)、翁舞(おきなまい)、神遊舞(かんあそびまい)、四箇散米舞(しかさごまい)、十二の手獅子舞・五方・面足獅子(じゅうにのてししまい・ごほう・もくたりしし)の十座行われました。担い手の参加者が少ないとはいえ、この座数は素晴らしいです。
榊舞(さかきまい)、幣帛舞(みてくらまい)、祝詞舞(のりとまい)とも云います。
その神社の宮司が朝夕玉垣内に参進して、神域を祓い清め、神拝して御幣を奉るという、神職の神明奉仕の姿を表した舞いであります。函館と近郊の町で行われる際には、松前神楽奉納となる時、斎主(その神社の宮司)が最初に舞われる舞いであります。
松前神楽 榊舞 祝詞
祝詞奏上
松前神楽 榊舞
榊舞(さかきまい)
福田舞(ふくだまい)、跡祓舞(あとはらいまい)とも云います。跡祓舞(あとはらいまい)は、宵宮祭で獅子舞を行わない神社で、一番最後に行うことから跡祓(あとはらい)とも云います。四方の神々を拝し、祓い清めて干ばつ、暴水、火難の災いを除き、五穀豊穣を祈願する舞いであります。
松前神楽 福田舞
福田舞(ふくだまい)
二羽散米舞(にわさごまい)、庭散米とも書き、鳥名子舞(とりなごまい)とも云います。
鶏は天の岩戸開きに暗黒の世より光明の時を告げ、世の始まりに地を踏み固めた瑞鳥であるとされています。雌雄二羽の鳥形の冠を頭に冠し、羽根には雄は瑞雲つまり天を表し、雌は海の波を形どり地を表して、雌雄親しみ和合して、世の中が平和である様を表し、神の恵みの米をまき散らし、千五百秋の瑞穂の国の五穀豊穣を祝う舞いであります。
松前神楽 二羽散米舞
二羽散米舞(にわさごまい)
兵法舞(へいほうまい)は、松前藩の武威を及ぼし天下泰平を祈願する舞いです。最後に勝利した藩主が、敵の武器であった長刀を取り歓喜して一人にて舞います。北海道の歴史を表現した舞いであります。松前町の神職が行う松前神楽では、秘曲とされしばらく行われていませんでしたが、最近では見られることもあります。
松前神楽 兵法舞
兵法舞(へいほうまい)
山神(さんじん)舞は、奥山の榊葉を持ち山神を表し、海鳥のしぐさを真似て山神にご覧になってもらい、おなぐさめ申し上げるというものであります。
松前神楽 山神
山神舞(さんじんまい)
三番叟(さんばそう)は、背が低く、顔が黒く、精力絶倫にして健康長寿、正道徳行の翁が、才智多い子孫に恵まれ自身もまた長寿であることを喜び舞う、家門の隆昌、子孫の繁栄を祝福した舞いであります。
松前神楽 三番叟
三番叟(さんばそう)
翁舞(おきなまい)は、面白く背が高く心柔和な老翁が、額にしわがよっても身体堅固で幾星霜を経る間に、身分が高い位に登った姿で、舞中に願意を言葉に表し、息災延命、立身出世を祝って舞う福禄寿の備わった最も目出度い舞いであります。
松前神楽 翁舞
翁舞(おきなまい)
神遊舞(かんあそびまい)、天皇遊舞(てんのうあそびまい)とも云います。
二人の武人が弓矢を持ち、四方の悪魔を退散し、正しい心に返す意味の舞で、松前藩の威徳を内外に示し、蝦夷地鎮定、天下泰平を祈願した舞であります。この舞は、松前藩主6代矩広(のりひろ)公の作品だと伝えられています。
松前神楽 神遊舞
神遊舞(かんあそびまい)
四箇散米舞(しかさごまい)、三品舞、三種舞とも云います。
最初が、折敷の手(四角のマスのようなものを持つ)で、次は、弓、剣、太刀つ続き、最後は3人で太刀を組んで行われる舞いであります。
神職が行う松前神楽では、お目出度い時、新鳥居や新社務所が建てた等のその神社で、お目出度い時に行われる舞いで、滅多に見られない舞いです。
松前神楽 四箇散米舞
四箇散舞(しかさごまい)
十二の手獅子舞・五方(じゅうにのてししまい・ごほう)
十二回手が変わるというので、十二の手獅子舞と云われています。一年十二ヶ月を形どり、獅子幕も十二反使用するを本格とするのであると云われています。五方とは、東西南北と正中(真ん中)を祓い固め蝦夷鎮定、国土安穏を祈る様を表しています。
松前神楽 十二の手獅子舞・五方
十二の手獅子舞・五方(じゅうにのてししまい・ごほう)
十二の手獅子舞・面足獅子(じゅうにのてししまい・もくたりしし)
コミカルな楽に変わり猿田彦が登場し、暴猛な大獣獅子を手玉にとって遊び戯れ、平和な世の中を招く悪魔降伏の舞いであります。
松前神楽 十二の手獅子舞・佐々良
昨年より、少々動画も入れており、一番わかりやすい方法だと感じられますので
公開します。
十二の手獅子舞・五方(じゅうにのてししまい・ごほう)
です。


今年は、「招待神楽(新築の家や目出たいことがあった家におもむき行う神楽)」が無く、寂しい限りであります。本来ならば、松前町の何処かで行われるのが理想ですよね。
今年からは、もう少し工夫して紹介して行きたいと考えております。郷土芸能の魅力や、撮影秘話なんかも書いて行けたらと思っております。その第1弾として少し書かせてもらいます。
撮影する際の基本としては、「はじめから終わりまで」を行っています。町周りだからといって、手を抜かないで一緒に行動するということをしております。何故かと申しますと、全てがお祭りだからです。苦しいことも楽しいことも一つの風習であり、体験することにより苦労や生活・習慣が理解出来るのです。いいとこ撮りだけでは、写真に力が出て来ないし、説得する写真は撮影出来ないと感じられます。
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