鹿部稲荷神社の7日の宵宮祭から1日置いて、本祭の松前神楽の取材をさせてもらいました。
たいていの神社もそうですが、宵宮祭よりも本祭の方が松前神楽の座数が多いので、本祭の重要さが自ずと解ってしまいます。本祭当日は、その土地に神様を奉った記念すべき日です。
鎮釜湯立式
鎮釜湯立式とは、鎮火祭という火を鎮める神事であります。釜でお湯を焚きホムスビノ神とミズハノメノ神をお祭りし、火(霊)を祓い清め、釜に向かい神歌を奏で鎮釜・鎮火を行います。また、湯笹で四方を拝し祓い清め除災招福を修します。また、この笹湯は祓われて外症状を治し、飲んで内症状を良くすると言われております。作物・漁獲量の吉凶を占う神事であり、松前神楽三十三座の中に十二座入っている神事であります。
鎮釜湯立式・釜清め(かまきよめ)
鎮釜湯立式
鎮釜湯立式・湯立(ゆたて)
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渡御祭は取材していませんが、当日は雨にも少し当ったようであり、コースの変更もあったようでありましたが、何とか無事に終えたようであります。
今回行われた神楽舞いは、榊舞(さかきまい)、鈴上舞(すずあげまい)、二羽散米舞(にわさごまい)、千歳(せんざい)、翁舞(おきなまい)、三番叟(さんばそう)、荒馬舞(あらうままい)、神遊舞(かんあそびまい)、山神(さんじん)舞、注連祓舞(しめはらいまい)、十二の手獅子舞・五方(じゅうにのてししまい・ごほう)・佐々良(ささら)の十一座が行われました。
鹿部稲荷神社は、通常行われている松前神楽のほとんどを見ることができます。
榊舞(さかきまい)、幣帛舞(みてくらまい)、祝詞舞(のりとまい)とも云います。
その神社の宮司が朝夕玉垣内に参進して、神域を祓い清め、神拝して御幣を奉るという、神職の神明奉仕の姿を表した舞いであります。函館と近郊の町で行われる際には、松前神楽奉納となる時、斎主(その神社の宮司)が最初に舞われる舞いであります。
榊舞(さかきまい)
鈴上げ(すずあげ)、神子舞(みこまい)、乙女舞(おとめまい)とも云います。
天女の天降るさまを舞う神子(みこ)の祝福の舞いであります。
鈴上(すずあげ)舞
二羽散米舞(にわさごまい)、庭散米とも書き、鳥名子舞(とりなごまい)とも云います。
鶏は天の岩戸開きに暗黒の世より光明の時を告げ、世の始まりに地を踏み固めた瑞鳥であるとされています。雌雄二羽の鳥形の冠を頭に冠し、羽根には雄は瑞雲つまり天を表し、雌は海の波を形どり地を表して、雌雄親しみ和合して、世の中が平和である様を表し、神の恵みの米をまき散らし、千五百秋の瑞穂の国の五穀豊穣を祝う舞いであります。
二羽散米舞(にわさごまい)
千歳(せんざい)は、百千歳の歳を重ねた老翁が、大君より長寿を祝福され、目出度い文箱を賜ったので、喜びの余り、手の舞い、足の踏むところ知らず舞い納めます。身体強健、寿命長久を祝した舞いであります。
千歳(せんざい)
翁舞(おきなまい)は、面白く背が高く心柔和な老翁が、額にしわがよっても身体堅固で幾星霜を経る間に、身分が高い位に登った姿で、舞中に願意を言葉に表し、息災延命、立身出世を祝って舞う福禄寿の備わった最も目出度い舞いであります。
翁舞(おきなまい)
三番叟(さんばそう)は、背が低く、顔が黒く、精力絶倫にして健康長寿、正道徳行の翁が、才智多い子孫に恵まれ自身もまた長寿であることを喜び舞う、家門の隆昌、子孫の繁栄を祝福した舞いであります。
三番叟(さんばそう)
荒馬舞(あらうままい)、松前遊(まつまえあそび)、正前遊舞(しょうぜんあそびまい)とも云います。城内神楽の神楽修行の際に、たまたま藩主の機嫌が悪くこれを直さんと考え馬が好きな藩主の為に、馬術の様子を即興的に創り演舞したところ大変喜び、機嫌を直したと云います。
荒馬舞(あらうままい)
神遊舞(かんあそびまい)、天皇遊舞(てんのうあそびまい)とも云います。
二人の武人が弓矢を持ち、四方の悪魔を退散し、正しい心に返す意味の舞で、松前藩の威徳を内外に示し、蝦夷地鎮定、天下泰平を祈願した舞であります。この舞は、松前藩主6代矩広(のりひろ)公の作品だと伝えられています。
神遊舞(かんあそびまい)
山神(さんじん)舞は、奥山の榊葉を持ち山神を表し、海鳥のしぐさを真似て山神にご覧になってもらい、おなぐさめ申し上げるというものであります。
山神(さんじん)舞
注連祓舞(しめはらいまい)、〆引(しめひき)、七五三祓舞(しめはらいまい)とも云います。白扇を四方四隅中央を祓い、真剣を抜き天井に十文字の縄を張った注連縄を切り払い、悪魔退散、国土安穏、千秋万歳を祝して舞われる舞いであります。
七五三祓舞(しめはらいまい)
十二の手獅子舞・五方(じゅうにのてししまい・ごほう)
十二回手が変わるというので、十二の手獅子舞と云われています。一年十二ヶ月を形どり、獅子幕も十二反使用するを本格とするのであると云われています。五方とは、東西南北と正中(真ん中)を祓い固め蝦夷鎮定、国土安穏を祈る様を表しています。
十二の手獅子舞・五方(じゅうにのてししまい・ごほう)
コミカルな楽に変わり猿田彦が登場し、暴猛な大獣獅子を手玉にとって遊び戯れ、平和な世の中を招く悪魔降伏の舞いであります。本来、相撲とったりはしませんが、少々の道化が入る舞いでありますが、猿田彦2人登場というのは、本来の光景でありません。
十二の手獅子舞・佐々良(じゅうにのてししまい・ささら)
今年はいろいろと考えて、撮影して行かなければと感じて撮影しております。そう変化はあまりないと思いますが、このブログで掲載する写真は、基本的に「記録」的な写真であります。様々な松前神楽を表現した写真は、私の写真展を通じてご覧下さいね。
このブログをご覧になっている方から、様々な方面からお声をかけていただいています。タイトルは、「良き候松前神楽」でありますが、南北海道の郷土芸能や風習を紹介したブログになりつつあります。中心に置いているのが「松前神楽」であることであります。南北海道から誕生した歴史ある神楽を誇りに持ち、これからも見守って行きたいと思います。
最近の松前神楽の光景は「厳格な神楽」というよりも、和やかした多少道化が強いのがその傾向であります。解釈は人それぞれではありますが、この神楽のことを知ると本当にそれでいいのだろうか?と感じてしまいます。
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