10月に入り、お祭りも終盤であります。北斗市にある、上磯八幡宮の本祭を取材させてもらいました。
昨夜の宵宮祭は、見るだけにしようと見学してきました。ノーカメラで、じっくり神楽舞いを見させてもらいました。新しい着眼点を探すには、座数の少ない宵宮祭でノーカメラで見つめる事も大切だと感じました。少々狙いが見えて来ました。取材記録を見ると、2007年の本祭の獅子舞だけを見ただけでしたので、3年ぶりの取材になります。
上磯八幡宮は、天文元年(1532年)、戸切村の氏神として創建されたと云われています。
円空さんも安置されている神社であります。御本体ではないようであります。
上磯八幡宮
祭礼終了し、鎮釜湯立式が入り松前神楽が始まります。
鎮釜湯立式とは、鎮火祭という火を鎮める神事であります。釜でお湯を焚きホムスビノ神とミズハノメノ神をお祭りし、火(霊)を祓い清め、釜に向かい神歌を奏で鎮釜・鎮火を行います。また、湯笹で四方を拝し祓い清め除災招福を修します。また、この笹湯は祓われて外症状を治し、飲んで内症状を良くすると言われております。作物・漁獲量の吉凶を占う神事であり、松前神楽三十三座の中に十二座入っている神事であります。
鎮釜湯立式・釜清め(ちんかまゆたてしき・かまきよめ)
鎮釜湯立式・釜清め(ちんかまゆたてしき・かまきよめ)
鎮釜湯立式・湯上げ(ちんかまゆたてしき・ゆあげ)
行われた神楽舞いは、榊舞(さかきまい)、
榊舞(さかきまい)、弊帛舞(みてくらまい)、祝詞舞(のりとまい)とも云います。
その神社の宮司が朝夕玉垣内に参進して、神域を祓い清め、神拝して御幣を奉るという、神職の神明奉仕の姿を表した舞いであります。函館と近郊の町で行われる際には、松前神楽奉納となる時、斎主(その神社の宮司)が最初に舞われる舞いであります。
榊舞(さかきまい)
福田舞(ふくだまい)、跡祓舞(あとはらいまい)とも云います。跡祓舞(あとはらいまい)は、宵宮祭で獅子舞を行わない神社で、一番最後に行うことから跡祓(あとはらい)とも云います。四方の神々を拝し、祓い清めて干ばつ、暴水、火難の災いを除き、五穀豊穣を祈願する舞いであります。
福田舞(ふくだまい)
千歳(せんざい)は、百千歳の歳を重ねた老翁が、大君より長寿を祝福され、目出度い文箱を賜ったので、喜びの余り、手の舞い、足の踏むところ知らず舞い納めます。身体強健、寿命長久を祝した舞いであります。
千歳(せんざい)
三番叟(さんばそう)は、背が低く、顔が黒く、精力絶倫にして健康長寿、正道徳行の翁が、才智多い子孫に恵まれ自身もまた長寿であることを喜び舞う、家門の隆昌、子孫の繁栄を祝福した舞いであります。
三番叟(さんばそう)
翁舞(おきなまい)は、面白く背が高く心柔和な老翁が、額にしわがよっても身体堅固で幾星霜を経る間に、身分が高い位に登った姿で、舞中に願意を言葉に表し、息災延命、立身出世を祝って舞う福禄寿の備わった最も目出度い舞いであります。
翁舞(おきなまい)
神遊舞(かんあそびまい)、天皇遊舞(てんのうあそびまい)とも云います。
二人の武人が弓矢を持ち、四方の悪魔を退散し、正しい心に返す意味の舞で、松前藩の威徳を内外に示し、蝦夷地鎮定、天下泰平を祈願した舞であります。この舞は、松前藩主6代矩広(のりひろ)公の作品だと伝えられています。
神遊舞(かんあそびまい)
悪魔退散、天下太平が継続しますようにと、天井にも矢が4本も刺さりました。
神遊舞(かんあそびまい)で天井に刺さった矢
〆引(しめひき)、注連祓舞(しめはらいまい)、七五三祓舞(しめはらいまい)とも云います。白扇を四方四隅中央を祓い、真剣を抜き天井に十文字の縄を張った注連縄を切り払い、悪魔退散、国土安穏、千秋万歳を祝して舞われる舞いであります。
〆引(しめひき)
十二回手が変わるというので、十二の手獅子舞と云われています。一年十二ヶ月を形どり、獅子幕も十二反使用するを本格とするのであると云われています。五方とは、東西南北と正中(真ん中)を祓い固め蝦夷鎮定、国土安穏を祈る様を表しています。
十二の手獅子舞・五方(じゅうにのてししまい・ごほう)
コミカルな楽に変わり猿田彦が登場し、暴猛な大獣獅子を手玉にとって遊び戯れ、平和な世の中を招く悪魔降伏の舞いであります。本来、相撲とったりはしません。
十二の手獅子舞・佐々良(じゅうにのてししまい・ささら)
参拝者が獅子舞になるにつれ多くなり、子供等を獅子に噛んでもらいにいらっしゃっていました。猿田彦も登場し、会場を騒がせていました。
函館市内では、鎮釜湯立式を行われる所が少なく、寂しい限りであります。伝統は継続して現在があります。復活して見せなければ、継承も理解もできないと考えられます。少々、考えて欲しいところであります。
例祭も有川大神宮だけになりました。今年は大祭になり、渡御も行われるということで、久々の上磯奴が見られます。私が取材始めて初めての上磯奴行列なので、どんな行列になるだろうと楽しみです。