2017年6月4日(日)に取材。
本年度から大きなテーマとなるかもしれない取材です。
北海道の神事を取材しようと考え、まず浮かんだのは「アイヌ民族」の存在です。私の勉強不足なのですが、みなみ北海道に住んでいる範囲で、「アイヌ民族」を直接感じるような行事や神事も行われていないというのを感じておりました。
北海道の神事・郷土芸能を撮影し記録を行なっている上で、避けて通れないのは「アイヌ民族」なのです。もっと多くの知識を知り、直接アイヌ民族と触れ合い、歴史と現状を知らなければならないと感じております。そのキッカケが、先日ブログで公開した「英傑・シャクシャインに会いに行く(新ひだか町・シャクシャイン記念館)」でも触れておりますが、英傑シャクシャインでした。松前神楽は、このシャクシャインとの戦いの終焉で、行われた神楽なのです。
このシャクシャイン記念館の取材の際に、いろいろとお話を聞かせてもらいました。アイヌ民族の儀式を6月に行うことを知り、取材ができないかと聞くと快く承諾してくれました。他所者の私が、アイヌ民族の先祖供養祭を取材できるのは有難いと感じました。
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この当時は、小雨が降る天気で晴れておりませんでした。
祭事は「チセ」の中で行われます。チセは、北海道や千島列島、樺太の先住民族であるアイヌの伝統的な住居建築であり、とても雰囲気のある空間でした。
カムイノミ(神酒を神に捧げ始まりの儀式)
近隣のアイヌ協会の人たちや、地元の自治体関係者が参列されていました。
カムイノミが始まり、関係者に神酒を配られます。イクパスイ(捧酒箸)という木製の祭具とトゥキ(酒杯)が渡り、神酒をを注ぎに来ます。注いでいる間、イクパスイ(捧酒箸)を上下に上げ下げします。
注がれたトゥキ(酒杯)
注がれた神酒を持って、外のヌサ(祭壇)に向かいます。ヌサオンカミ(祭壇前での礼拝)を行います。
イナウの上に、神酒を付けて、イクパスイ(捧酒箸)で左右、各1回ずつ輪をえがき祈りを捧げます。イナウとは、カムイや先祖と人間の間を取り持つもの(贈り物・メッセンジャー・神霊の依り代)とされています。強いて言えば神道における御幣に相当するが、それよりも供物としての性格が強いようです。イナウの先には白い酒粕を載せており、酒の清めという意味合いを感じられました。
写真はありませんが、ヌサオンカミ(祭壇前での礼拝)が終わるとアイヌ料理体験試食会になり、豚汁ときびの入ったご飯、焼き鮭をいただきました。外は雨で、チセの中は人が多く、食べる場所を確保できないので車の中で食べました。気温もそう高くもなかったので、豚汁は助かりました。
イチャルパ(先祖供養祭)
食事の後は、イチャルパ(先祖供養祭)に入りました。
女性が、ヌサ(祭壇)の向かって左側に座り、供物を捧げ祈りを捧げます。
祭典終了のカムイノミ(神酒を神に捧げ終わりを告げる儀式)が行われました。チセ内に戻りもう一度神酒が配られ、神々に祈りを捧げ、イクパスイ(捧酒箸)で神酒を付けて、囲炉裡に少量かけて自らの口に運んで、神酒をいただきます。
最後に祭主が、囲炉裡前にイナウを燃やして神を送り、祭典終了となります。
道具一式を片付けるまで、一つ一つ所作があるようで見届けます。これで、イチャルパの終了を告げます。
アイヌ文化交流会
近郊の団体2団体による、アイヌ古式舞踊が披露されました。参列していた団体は、苫小牧アイヌ文化保存会、鵡川アイヌ文化伝承保存会です。雨降る中、テントの中で行われました。
写真は、エムシリムセ(剣の舞)という舞です。
エムシリムセ(剣の舞)
エムシリムセ(剣の舞)
写真は、クリムセ(弓の舞)という舞です。
最後に女性たちで行われた舞ですが、アイヌ古式舞踊の奥の深さで地方で行う舞いがあるようで、調べてみましたがこの記事を書いている段階ではわかりませんでした。
一通り祭礼を見させてもらいました。イナウがアイヌ民族の御幣に見えて、ヌサという言葉は神道でもあるので、よく似ていると感じられました。
北海道に住んでいますが、アイヌ民族の祭礼を初めて見せてもらいました。とても貴重な体験でした。
アイヌ古式舞踊の種類も多くあるのだなと、この記事を書くまでわかりませんでした。各地に伝わる舞踊があるようで、どこの保存会が行うのかと、これからまた見ていく上で注意して見ていこうと思います。
北海道の民族の風習や文化に触れられた貴重な時間でした。9月にシャクシャイン法要も行われるので、そちらにも足を運んでみようと思います。
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アイヌ民族もんよう集―刺しゅうの刺し方・裁ち方の世界