北海道の祭り、郷土芸能・文化、風習、伝説などを巡礼日誌です。松前神楽の取材も継続していきます。

良き候北加伊道

【北海道積丹町美国の祭り】積丹町美国・美国神社例大祭(平成30年)猿田彦の火渡り 2日目

2018年7月6日(金)に取材

昨日に引き続き、美国神社例大祭・猿田彦(天狗さん)の火渡りを取材しております。
昨日のあいにくの天気から、本日も曇天です。美しい積丹ブルーを拝むことはできませんでした。こういう時でも渡御は行われます。

渡御2日目 美国神社前

昨日よりも雨の心配はなさそうです。神社から出発して、町内を練り歩きます。


 
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渡御2日目 出発

行列の先頭・猿田彦は、絶えず十字路などで道を練り歩き、安全を確かめるようなことをしながら行列は進みます。

神社行列には、獅子が玄関先に出ている家族の頭を噛みに行きます。「頭が良くなるように」という人もあれば、人それぞれの意味を込めて獅子に噛んでもらうようです。赤ん坊であれば、病気しないようにとか、人の願いを獅子は食べて行きます。民間信仰であると考えられます。

神輿の前でご祈祷です。神職は、祓詞を上げて氏神様に祈願します。神輿を通じて、氏神様が町の様子を見ていただくというのが、渡御祭の意味です。家族は全員外に出て、神輿を迎えてご祈祷願います。この様子が、祭り風景の欠かせない風景です。

山車行列

神社行列の後ろは、町内の神輿と続きます。町内の神輿も2〜3基あり、

神輿行列の後ろからは、山車行列が続きます。

神輿が家の前に止まり、ご祝儀をいただくと、担ぎ手一同から三本締めをしてくれます。全ての家で行われているわけではないようですが、ある程度のご祝儀で成立すると思われます。

獅子舞の奉納

一定の場所ですが、獅子舞の奉納が行われる場所がありました。

獅子舞の準備。

獅子舞の舞いから見ても、松前神楽です。当然、楽も松前神楽の「十二の手獅子舞・五方」でした。人から聞くところ、以前、松前神楽をしていた人が復活されたようで、この地にもやはり松前神楽の音・舞いが残されておりました。現在は、拝殿で神楽まで行うことはされませんが、松前神楽の面影を見たり、聞いたりすることが出来ます。

猿田彦(天狗さん)の動き

さて、行列は進みます。猿田彦(天狗さん)の仕事は行列の先頭を司り、辺りを見ながら氏神様の進行と安全を守りながら進行します。

十字路の道路に入ると、猿田彦(天狗さん)は、三方向を睨み、安全と失礼の無いのを確かめて進行します。家の二階から覗いていたり、洗濯物が干していたりしていると、大きく猿田彦(天狗さん)は激しく動き、側にいる人にそれを指摘します。側の人は、それを察知して、指摘されたことが除外されないと進行しません。ここの場合、人が指摘されるような行為をすると、側の人から塩を打たれて清められます。
厳格なまでに行われるこのような行為は、祭りを盛り上げさせます。

猿田彦(天狗さん)との2ショット写真。子供と猿田彦(天狗さん)のショットは、泣いている時が多いですが、乳飲み子であれば、この距離では泣きませんね。

献酒をする時の、待っている人に睨みながら猿田彦(天狗さん)は立ち止まります。祭りの時は、どんな人も猿田彦(天狗さん)に頭を下げなければならないのです。祭りのルールです。

猿田彦(天狗さん)と獅子との見せ場

獅子と猿田彦(天狗さん)との見せ場が数カ所で行われます。どこでも行なっているわけではありません。渡御の中の休憩を挟んだ所に時間を取っています。獅子が猿田彦(天狗さん)にちょっかいを出していき、猿田彦(天狗さん)が怒り、獅子の動きを抑えるというスタイルです。

猿田彦(天狗さん)が怒りだして、獅子を抑えようと立ち上がります。しばらく、獅子と猿田彦(天狗さん)との駆け引きが行われますが、獅子を抑え付けて終わりというちょっとした寸劇のようです。

神社行列は進む

神輿の人達も、猿田彦(天狗さん)は、ヒーロー的存在です。道を祓い清める猿田彦(天狗さん)に声援を送ります。
それに応えるように、カッコよく進行していきます。

家々でお神酒やおさんごを持った人が待っております。神輿は家の前に立ち止まり、宮司が祓い詞を奏上し、家内安全を祈ります。

猿田彦(天狗さん)の火渡り

最後に行われるのは、火渡り神事です。火で全身を祓い清めて、拝殿に入るということでクライマックスを迎えます。昨日は、強風で人が少なかったのでこの日は観客も多く、その一瞬を狙うカメラマンも多く今か今かと心待ちにしております。
神社行列が神社に戻ってきて、火渡りの準備が行われます。カンナ屑を3箇所に設置され準備が整うと、神職が祈祷をしてそのカンナ屑に火が灯されます。

猿田彦(天狗さん)の火渡りです。数度、火の周りを練り歩きタイミングを伺います。全て猿田彦(天狗さん)のタイミングで行われまが、カンナ屑を焼べる際がタイミング間近という判断して、撮影する側もタイミングを測ります。

3箇所のカンナ屑を往復します。拝殿側にいるとシャッターのタイミングが2回あるということになります。

猿田彦(天狗さん)の火渡りが終わると、神籬(ひもろぎ)、神輿へと次々に火渡りしていきます。猿田彦(天狗さん)のみの火渡りではないので驚きます。猿田彦(天狗さん)同様に、往復しますので、シャッターチャンスも2回あります。

まとめ

猿田彦(天狗さん)の火渡りは、美国町・古平町と行われており、いつも古平町の方を取材しておりましたが、同じような火渡りをしていても、まちごとの約束事があり面白く見られると思います。祭りは、このルールを見て楽しむものだなと感じました。写真で言えば、火渡り以外でも祭りのルールを表現していければと思います。じっくりと祭りのルールを勉強して行くと、そのまちの人の歴史や楽しみ方がよく理解できると思います。
ある程度の祭りのルールの厳格な所ほど、「面白い」と感じてしまいます。

日本の祭りドットコムでも、猿田彦(天狗さん)の火渡りを入れた「美国神社例大祭」の様子を公開しております。下記よりクリックしてご覧ください。

美国神社例大祭 天狗の火渡り

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