北海道の祭り、郷土芸能・文化、風習、伝説などを巡礼日誌です。松前神楽の取材も継続していきます。

良き候北加伊道

【江差町の祭り】姥神大神宮渡御祭下町巡行その2「切り声について」(平成21年)

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切り声をする山車(ヤマ)

今回は、13台の山車(ヤマ)の「切り声」を全て動画で収録しようと考えています。切り声とは、網起こし音頭であり、江差の郷土芸能の沖揚げ音頭であります。山車(ヤマ)に奉賛する若者たちが、「切り声(網起こし音頭)」を掛けながら、曵綱を商店や関係者の家の中に入れ、繁昌と安泰を祝います。13台の山車(ヤマ)全て切り声を持っているのか、と言うとそうではないとのことです。「切り声」をする所と、しない所があるということです。そうだったのかぁ〜と、聞かなければわからないことです。

切り声をする山車(ヤマ)は、

義公山(ぎこうざん)、豊年山(ほうねんやま)、豊栄山(ほうえいざん)、松寳丸(まつほうまる)、蛭子山(えびすやま)、楠公山(なんこうざん)、譽山(ほまれやま)、聖武山(しょうむざん)、源氏山(げんじやま)

上記の9つの山車(ヤマ)で行われているようです。8月9日(宵宮)にも、魂入れに神社にやってきた3つの山車(ヤマ)だけ収録に成功したので、残りは6つの山車(ヤマ)を収録したいと考えます。

当日山車(ヤマ)関係者に聞き込みをして、なんとか収録しました。この場をかりて、山車(ヤマ)関係者に感謝申し上げます。
今後、このブログでも音声と映像を組み合わせして、公開していきたいと考えている。


切り声をする蛭子山(えびすやま)

下町巡行は、姥神大神宮から江差のいのにしえ街道(商店街)という道を渡御いたします。名の通りに昔風に再建築した民家や商店を通るので、各山車(ヤマ)の笛、太鼓が響きながらゆっくり街道を歩くことで、この街を歩いて祭りの雰囲気を味わえます。時折、民家・商店から聞こえる「切り声」も一層、この祭りを盛り上げてくれる要素です。
絢爛豪華な山車(ヤマ)が通り過ぎるて後ろ姿を見ると、なんとも言えない哀愁が感じられます。だんだん遠くなりつつある過ぎて行く山車(ヤマ)の祭り囃子を聞きつつ、次の山車(ヤマ)の祭り囃子が聞こえてくるのは、なんとも言えないと感じます。


過ぎ行く松寳丸(まつほうまる)


小休憩

夕方になりこの日のメインは、愛宕町(商店街)を通過します。この日山車(ヤマ)のメインとなる場所です。
愛宕町で山車(ヤマ)が立て山(一定の方向に山車を向ける)の状態になり、愛宕町では大勢の観客で埋め尽くされます。山車(ヤマ)の若人は休憩することなく、各家や商店を周り「切り声」をして回ります。
愛宕町での立て山(一定の方向に山車を向ける)終わると山車(ヤマ)は、再度いにしえ街道を通り、姥神大神宮前に集結します。いにしえ街道をゆく山車(やま)の明かりが美しい。


いにしえ街道をゆく山車(やま)

神社前にて「宿入之儀」

山車(やま)が集結すると、「宿入之儀(しゅくいれのぎ)」が行われます。「宿入之儀(しゅくいれのぎ)」とは、3台の神輿を拝殿に入れる神事です。一度、神社を出た神様は神社になかなか戻りたくないので、最初の神輿は神社の拝殿に入る手前で戻り本殿に神輿を入りません。これを6回繰り返して、7回目でようやく本殿に入れて終了である。次の神輿は4回拝殿に入る手前で戻り、5回目で拝殿に入れる。3台目は2回拝殿に入る手前で戻り、3回目で拝殿に入ります。7・5・3で入れるというのは、神道でこの数字は縁起がいい数字というとこからということを神社関係者から聞きました。
南北海道の各所の神社の祭りに取材に行きましたが、このような風習を行っているのは姥神大神宮だけだろうと思われる。
神輿の先頭には、たいまつに火が付けられ、神輿が通る道をたいまつで祓い清め、その後ろを神輿が後を続いて行きます。


たいまつ


宿入之儀(しゅくいれのぎ)神社に向かう神輿

宿入之儀(しゅくいれのぎ)が終了すると、この下町巡航最後に「切り声」が披露されます。今年は松寳丸(まつほうまる)の切り声だった。「切り声」を聞いていると、「港のある町の祭りに来ている」と感じられ、いい心地がいたします。


 

上2枚 切り声・松寳丸(まつほうまる)

切り声が終わると、各山車(ヤマ)は町内に帰って行きます。神社の行事としては、宿入之儀(しゅくいれのぎ)が終わると拝殿内では、還御祭が行われます。気がつくと神社前では、宿入之儀(しゅくいれのぎ)の後始末が行われていました。


燃えかすを後始末する

姥神大神宮渡御祭下町巡行その2「切り声について」まとめ

姥神大神宮渡御祭下町巡行の様子と、切り声について勉強させてもらいました。気がつくと、沖上げ音頭でも様々な唄があるようで、沖に行くときの音頭、網を上げるときの音頭、戻っていくときの音頭等の唄があり、各山車(ヤマ)は、どこの部分をメインに「切り声」として唄っているかということもあり、似ている所があっても歌詞が微妙に違ったりとして変えているようです。
船頭が唄うと、ヤン衆が続いて唄いを繰り返し、船頭が「ヤンサーノ」というとヤン衆が「どーこっい!」で終わります。聴いていると気分がよくなりますね。

明日は、上町巡行です。下町巡行する距離よりも上町巡行の方が距離があるので、頑張りたいと思います。


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江差・姥神大神宮渡御祭

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