北海道の祭り、民俗芸能・文化、風習、伝説などを巡礼日誌です。松前神楽の取材も継続していきます。

良き候北加伊道

【北海道の祭り】美瑛町・美瑛神社奉祝御鎮座120年記念「那智・美瑛火祭り」(平成28年)

2016年7月24日

昨年も取材させてもらいました丘のまち美瑛町の美瑛神社。今回は節目の例大祭3部作の最後は、美瑛神社の美瑛・那智火祭を今年も取材させてもらいました。奉祝御鎮座120年、昨年から聞いていたので予定を組んで今年も美瑛の熱い夏が始まります。7月24日(日)に取材しました。

昨年訪れた際には、撮影出来なかった所を補うように前日から上川地区に入り、24日の早朝から神社に赴きました。
今日は美瑛・那智火祭なので、この行事中心の神事が執り行なわれます。まずは、禊ぎが行われるということで時間まで待つことにしました。

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美瑛神社鳥居
 

火祭奉仕者の禊ぎ


禊ぎ

神職をはじめ火祭奉仕者が一同に集まり、禊ぎが行われました。私の禊ぎのイメージは、木古内町の「寒中禊ぎ」なので、このような正式な禊ぎを見るのは初めてです。声を上げて、身体を動かし、祈り、禊ぎをするという形式を繰り返していくという形式でした。この日の天気は、快晴に近い天気で暑くあるような日でした。


禊ぎ

祈願祭並び火きり神事・松明清祓

禊ぎが終わり、白鳥姿に変わった火祭奉仕者らが拝殿にて、祈願祭並び火きり神事、松明清祓が行われました。この光景も今回初めて見させてもらう行事でした。

祈願祭

火きり神事では、拝殿にて火をおこします。この火種をもって望岳台に向かい、十勝岳鎮静祈願祭・採火式へと流れます。
現代では、マッチ(平成の世では古いかもしれない)いや、ライターかチャッカマンを使用していますが、古式ゆかしき方法、摩擦でその火をおこします。火になるまで相当の苦労をする作業です。

火きり神事

十勝岳の鎮火祭

無事に火がおこり、この火を持って望岳台に向かいます。十勝岳の鎮火祭を行います。

火きり神事

なぜ美瑛町に「那智の火祭」なの?という素朴な質問にたどり着くと思います。那智・美瑛火祭実行委員長の堀内俊彦さんにお話を聞くと、

昭和63年(1988)12月の十勝岳の噴火で、美瑛町は十勝岳の西麓に位置するため、町内の一部地区の住民は避難を余儀なくされました。翌春、避難命令は解除され、住民が戻ってきたものの町は沈滞ムードに包まれていました。そこで美瑛に活気を取り戻そうと住民有志と美瑛神社の宮司様が立ち上がりました。美瑛町の歴史を遡ると、町の基礎を築いたのは明治29年(1896)に和歌山県東牟婁郡那智勝浦町から入植してきた方々でした。美瑛神社は、入植者が故郷の神社から御分霊を授かって建立した小祠がルーツです。改めて町の歴史を振り返る中で、町おこしの祭りに美瑛町のふるさとともいえる那智勝浦町にある熊野那智大社の「那智の火祭」を開催してはどうだろうかというアイデアが生まれてきました。那智の火祭は日本三大火祭りのひとつに数えられる有名な祭りです。当時の熊野那智大社の宮司様と那智勝浦町町長にご相談したところ快諾していただき、「那智」の名前も使用することも許していただきました。そして平成元年、那智・美瑛火祭の第1回が十勝岳の鎮静と安全、美瑛町の発展を祈願して行われました。以後、恒例行事として毎夏開催することになりました。

「ダイドー祭りドットコム2014年美瑛・那智火祭」より引用

十勝岳鎮静祈願祭・採火式

現在も煙が出ている十勝岳の望岳台に行き、十勝岳鎮静祈願祭・採火式が行われました。祭壇もしっかりと組み、関係者や観光客らに見守られながら神事が粛々と行われました。松前神楽で言うならば、鎮釜湯立式という感じでしょう。(鎮釜湯立式とは、鎮火祭という火を鎮める神事であります。釜でお湯を焚きホムスビノ神とミズハノメノ神をお祭りし、火(霊)を祓い清め、釜に向かい神歌を奏で鎮釜・鎮火を行います。また、湯笹で四方を拝し祓い清め除災招福を修します。この笹湯は祓われて外症状を治し、飲んで内症状を良くすると言われております。また、作物・漁獲量の吉凶を占う神事であり、松前神楽三十三座の中に十二座入っている神事です。)

十勝岳鎮静祈願祭


採火式

昨年は、これらを見る事ができませんでしたので、見られて良かったです。この望岳台までいく道程は、ちょうど観光地「青い池」や白金温泉郷を通りますので、日曜日とぶつかり大変混雑しました。

いよいよ、松明に点火(美瑛・那智火祭のはじまり)

午後7時半頃、神社から丸山公園に向けて、火祭奉仕者と神職が一緒に向かいます。

丸山公園へ

松明を持って広場へ

小山の広場で、神職と奉仕者だけの状況になり、いよいよこの場で点火式ということになります。宮司が、各松明に祈りを捧げ、一斉に点火となります。(ここの撮影は、許可をもらった上に預かった半纏を着た者だけが入ることが出来ます。)

火が付くと「ホーリャ、ホーリャ」という掛け声をしながら、この丸山公園を数回廻ります。

丸山公園にて

松明を抱える人の周りには、水の入った桶を持ち、炎で暑くなった顔や身体に水を掛ける人も松明を抱える人に付き添います。

丸山公園にて

街を練り歩きます。一つ目の松明は、昨年よりも早めに燃え尽きてしまいました。境内に入っても数回廻るのですが、早く燃えてしまいました。

街の練り歩き

街の練り歩き

街の練り歩き

街の練り歩き

24本の大松明を燃えつくすと、火祭は終わりです。今年は日曜日だったので、丸山公園から美瑛神社境内までの道程で見ていた観客の方が多かった様に感じます。無事に大きな事故なく、終わりました。那智・美瑛火祭実行委員長の堀内俊彦さんの挨拶されました。

那智・美瑛火祭実行委員長の堀内俊彦さん


集合写真撮影

2年後には、火祭30年を迎えます。もう少し、この火祭を見て行こうと思います。来年また来れたらいいなぁと思います。
明日は渡御祭で、郷土芸能・美瑛親子獅子舞を中心に取材をします。

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