2017年10月4日(水)取材
神楽見学も長く見続けてくると、毎年足を運ぶ場所が決まってきます。それは、座数の多い神社にどうしても足を運んでしまします。それだけ助勤(じょきん=神職が祭りを手伝いに行くという意味)している人の人数でだいたい座数も見えてきます。人数が多ければ、多くの松前神楽の座数が多いといっても過言ではありません。
毎年、上磯八幡宮のお祭りにお邪魔させてもらっていますので、今回は宵宮祭から松前神楽を拝見することができました。
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上磯八幡宮に神楽を見にくる理由
松前神楽を拝見する上で選ぶ基準は、まず歴史的重要性、見ていて神楽の良い所、座数(演目)が多い所等考慮して訪問しております。
上磯八幡宮は、「松前神楽」を語るにも重要な所として認識しております。現在の「函館風」の基となる人の末裔がいらっしゃいます。
森稲荷神社の小島仁太郎(昭和十一年に七十五歳で没)・上磯八幡神社の村田義徳(昭和五年に六十五歳で没)の二人は、明治十五〜二十年頃に佐々木安貫の指導を受けて古来の神楽式を伝承している。これらの人たちによる創意工夫が「函館風」の現在の松前神楽で、各神社の祭式の都合によって舞と楽の構成を適宜に組替える方法を編み出し、楽の止め手、特に笛(小島正美)の曲の終止型など妙手が聞かれ「福山風(松前風)」といわれる松前方面の古典調と比べ、テンポの早い近代的な演出となっている。(「松前神楽」松前町教育委員会・松前神楽保存会著)
「小島仁太郎」さんの孫に当たるのが、上磯八幡宮の宮司さんであります。佐々木家からの神楽を継承し、「函館風」を作り出したという経過であります。
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宵宮祭での松前神楽
宵宮祭で行われる松前神楽は、軽く四〜五座程度行われます。今回の上磯八幡宮宵宮祭では、神楽初(かぐらそめ)、榊舞(さかきまい)、鈴上舞(すずあげまい)、利生舞(りしょうまい)、跡祓舞(あとはらいまい)の五座でした。
松前神楽・神楽初(かぐらそめ)
神楽始(かぐらそめ)、神楽初とも書きます。松前神楽に入る前に行われる、楽(笛・太鼓・手拍子)と神歌を神前にて、これから松前神楽奏上することを知らせるプロローグのようなものです。
神楽初(かぐらそめ)
松前神楽・榊舞(さかきまい)
幣帛舞(みてくらまい)、榊舞(さかきまい)、祝詞舞(のりとまい)とも云います。その神社の宮司が朝夕玉垣内に参進して、神域を祓い清め、神拝して御幣を奉るという、神職の神明奉仕の姿を表した舞いです。函館と近郊の町で行われる際には、松前神楽奉納となる時、斎主(その神社の宮司)が最初に舞われる舞いです。
榊舞(さかきまい)
松前神楽・鈴上舞(すずあげまい)
鈴上舞(すずあげまい)、神子舞(みこまい)、乙女舞(おとめまい)とも云います。天女の天降るさまを舞う神子(みこ)の祝福の舞いです。
鈴上舞(すずあげまい)
松前神楽・利生舞(りしょうまい)
利生舞(りしょうまい)は、神々に初穂を献じ、 鎮魂を祈るため、 烏帽子、 狩衣、 扇、 玉鈴を持ち行われる二人舞いです。二羽散米舞(にわさごまい)の省略した舞いであると云われており、主に宵宮祭でしか見ることができない舞いです。
利生舞(りしょうまい)
松前神楽・跡祓舞(あとはらいまい)
福田舞(ふくだまい)、跡祓舞(あとはらいまい)とも云います。跡祓舞(あとはらいまい)は、宵宮祭で獅子舞を行わない神社で、一番最後に行うことから跡祓(あとはらい)とも云います。四方の神々を拝し、祓い清めて干ばつ、暴水、火難の災いを除き、五穀豊穣を祈願する舞いです。
跡祓舞(あとはらいまい)
上磯八幡宮宵宮祭・まとめ
久々に、十二の手獅子舞が行われない宵宮祭に参列できたことがよかった。近年、どこの函館近郊の神社では宵宮祭でも獅子舞が行われており、宵宮祭の静けさを味わうことのできる神社であると思われます。通常・福田舞(ふくだまい)と紹介しておりますが、「跡祓舞(あとはらいまい)」と紹介できるのは、少ないと思われます。
明日の本祭にも神楽を見ようと思います。
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