北海道の祭り、郷土芸能・文化、風習、伝説などを巡礼日誌です。松前神楽の取材も継続していきます。

良き候北加伊道

【北海道の神楽】北斗市・上磯八幡宮本祭での松前神楽(平成29年)

2017年10月5日(木)に取材

昨日の宵宮祭から本祭の松前神楽を拝見いたします。本祭までの間、門祓い神事が行われておりまして、本祭では神事と松前神楽が奏上されるという流れになっております。
 
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上磯八幡宮本祭での松前神楽

本祭は、お祭りの一番大切なお祭りであります。神事が終わり、神楽の笛・太鼓が鳴り始めると、徐々に参拝者が何が始めるものかと集まってきます。最後の獅子舞に間に合うように、拝殿の周りに人が神楽の様子を楽しそうに見ているという風景をよく見られます。
 
行われた神楽舞は、榊舞、福田舞、二羽散米舞、千歳、三番叟、翁舞、山神、神遊舞、〆切り、十二の手獅子舞・五方・面足獅子の十座でした。

榊舞の写真はありません。所用で撮影できませんでした。福田舞から撮影に入りました。

松前神楽・福田舞

福田舞(ふくだまい)、跡祓舞(あとはらいまい)とも云います。跡祓舞(あとはらいまい)は、宵宮祭で獅子舞を行わない神社で、一番最後に行うことから跡祓(あとはらい)とも云います。四方の神々を拝し、祓い清めて干ばつ、暴水、火難の災いを除き、五穀豊穣を祈願する舞いです。
 

福田舞
 

松前神楽・二羽散米舞

二羽散米舞(にわさごまい)、庭散米とも書き、鳥名子舞(とりなごまい)とも云います。鶏は天の岩戸開きに暗黒の世より光明の時を告げ、世の始まりに地を踏み固めた瑞鳥であるとされています。雌雄二羽の鳥形の冠を頭に冠し、羽根には雄は瑞雲つまり天を表し、雌は海の波を形どり地を表して、雌雄親しみ和合して、世の中が平和である様を表し、神の恵みの米をまき散らし、千五百秋の瑞穂の国の五穀豊穣を祝う舞いです。
 

二羽散米舞
 

松前神楽・千歳

千歳(せんざい)は、百千歳の歳を重ねた老翁が、大君より長寿を祝福され、目出度い文箱を賜ったので、喜びの余り、手の舞い、足の踏むところ知らず舞い納めます。身体強健、寿命長久を祝した舞いです。
 

千歳

松前神楽・三番叟

三番叟(さんばそう)は、背が低く、顔が黒く、精力絶倫にして健康長寿、正道徳行の翁が、才智多い子孫に恵まれ自身もまた長寿であることを喜び舞う、家門の隆昌、子孫の繁栄を祝福した舞いです。


三番叟

松前神楽・翁舞

翁舞(おきなまい)は、面白く背が高く心柔和な老翁が、額にしわがよっても身体堅固で幾星霜を経る間に、身分が高い位に登った姿で、舞中に願意を言葉に表し、息災延命、立身出世を祝って舞う福禄寿の備わった最も目出度い舞いです。
 

翁舞

松前神楽・山神

山神(さんじん)舞は、奥山の榊葉を持ち山神を表し、海鳥のしぐさを真似て山神にご覧になってもらい、おなぐさめ申し上げるというものです。
 

山神

松前神楽・神遊舞

神遊舞(かんあそびまい)、天王遊舞(てんのうあそびまい)とも云います。二人の武人が弓矢を持ち、四方の悪魔を退散し、正しい心に返す意味の舞で、松前藩の威徳を内外に示し、蝦夷地鎮定、天下泰平を祈願した舞です。この舞は、松前藩主6代矩広(のりひろ)公の作品だと伝えられています。
 

神遊舞

松前神楽・〆引

注連祓舞(しめはらいまい)、〆引(しめひき)、七五三祓舞(しめはらいまい)とも云います。白扇を四方四隅中央を祓い、真剣を抜き天井に十文字の縄を張った注連縄を切り払い、悪魔退散、国土安穏、千秋万歳を祝して舞われる舞いです。


〆引

松前神楽・十二の手獅子舞・五方

十二の手獅子舞・五方(じゅうにのてししまい・ごほう)十二回手が変わるというので、十二の手獅子舞と云われています。一年十二ヶ月を形どり、獅子幕も十二反使用するを本格とするのであると云われています。五方とは、東西南北と正中(真ん中)を祓い固め蝦夷鎮定、国土安穏を祈る様を表しています。
 

十二の手獅子舞・五方

松前神楽・十二の手獅子舞・面足獅子

十二の手獅子舞・面足獅子(じゅうにのてししまい・もたりしし)本来、御稜威舞、獅子の鈴上、五方と続き、コミカルな楽に変わると猿田彦が登場します。鎮まっていた獅子を手玉にとり、遊び戯れて平和な世の中を招く悪魔降伏ということです。
 

十二の手獅子舞・面足獅子

上磯八幡宮本祭・まとめ

上磯八幡宮の本祭を迎えるとあとの残す所は、有川大神宮例祭のみとなりました。
宵宮祭、本祭ともに、文化庁の関係者の方々が、最後に訪問されておりました。はてさて、国指定がうまく行くことを願います。

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