北海道の祭り、民俗芸能・文化、風習、伝説などを巡礼日誌です。松前神楽の取材も継続していきます。

良き候北加伊道

【北海道の祭り】福島町・漁師さんのお祭り「船魂講(通称・船魂さん)」(平成29年)

2017年7月10日

2017年1月11日取材しました

平成29年に入り、漁師さんのお祭りが行われる福島町の船魂(ふなだま)さんを取材しました。
漁港まで門祓いを行い、各船を祓い清めて行き、祭式・松前神楽が行われます。漁師さんにとっては、この一年の大漁を祈願する祭りなので、真剣です。

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船魂講(ふなだまこう)とは?

「船魂」というのを調べてみました。

全国的に、船霊は女の神であるとされる。海上に女性を連れて行ったり、女性が一人で船にのったりすると、憑かれたり天候が荒れたりするとして忌む傾向がある。元来は巫女が入ったものと考えられ、その女性を指して「オフナサマ」といったためにこのようなタブーができたと考えられる

とあり、「講(こう)」とは、

講(こう)とは、同一の信仰を持つ人々による結社である。ただし、無尽講など相互扶助団体の名称に転用されるなど、「講」という名称で呼ばれる対象は多岐に渡っている。

船魂さんを祀るのは、もっぱら漁師さんです。自分の船にこの神様を迎えて、事故のないことを祈願することでしょう。

漁船までの門祓い神事

漁港まで行列が行きます。

船魂さんの神事そして松前神楽

神社に戻り、神事が行われます。祈願する漁船の名前を全て、祝詞の中に入れて読み上げられ、今年の豊漁を祈願されます。
行われた神楽舞は、祝詞舞(のりとまい)、庭散米舞(にわさごまい)、三番叟(さんばそう)、注連祓舞(しめはらいまい)、十二の手獅子舞・五方(じゅうにのてししまい・ごほう)・面足獅子(もくたりしし 通称・佐々良)の五座が行われました。

注連祓舞(しめはらいまい)、〆引(しめひき)、七五三祓舞(しめはらいまい)とも云います。白扇を四方四隅中央を祓い、真剣を抜き天井に十文字の縄を張った注連縄を切り払い、悪魔退散、国土安穏、千秋万歳を祝して舞われる舞いです。

注連祓舞(しめはらいまい)

十二の手獅子舞・五方(じゅうにのてししまい・ごほう)十二回手が変わるというので、十二の手獅子舞と云われています。一年十二ヶ月を形どり、獅子幕も十二反使用するを本格とするのであると云われています。五方とは、東西南北と正中(真ん中)を祓い固め蝦夷鎮定、国土安穏を祈る様を表しています。

十二の手獅子舞・五方(じゅうにのてししまい・ごほう)

そして最後に行われるのは、十二の手獅子舞・五方(じゅうにのてししまい・ごほう)・面足獅子(もくたりしし 通称・佐々良)です。
十二の手獅子舞・面足獅子(じゅうにのてししまい・もたりしし)本来、御稜威舞、獅子の鈴上、五方と続き、コミカルな楽に変わると猿田彦が登場します。鎮まっていた獅子を手玉にとり、遊び戯れて平和な世の中を招く悪魔降伏ということです。

猿田彦は、どんどん獅子の口の中に、各々の船名の入った大漁旗(全ての大漁旗を繋げて飲み込ませる)を入れて行きます。
全てを入れると、また大漁旗を吐き出します。
少々疑問の残ることをしているようですが、近年不思議に見ておりました。

「なぜ、繰り返す(祝詞も猿田彦が大漁旗を飲み込ませる)のだろう」

この船魂さんの祝詞は、一度祈願する船名を読み込んで行き最後まで読んだら、後ろの方からまた読み返していくということをするようです。これは船の順位を付けないためだろうと、宮司や地元の方から聞きました。
私の思ったことは、漁船は出港したら戻って来るのが大事なことです。船名でも読み進めて、また戻って来るということを見ると、船の安全祈願の縁起を担いでいるようにも感じられます。同様に、この神楽の中にも、大漁旗(自分船舶)を繋いで獅子に飲み込ませて吐き出す様もそのように見えてきました。

船魂さん まとめ

漁師さんは大漁祈願も大事ですが、安全に戻るということが大前提なのではないかと思いました。
全く裏を取れていない勝手な説ですが、そう見るとこの行事の大切な所が見えて来るようでした。

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