後志地方の松前神楽

小平町鬼鹿地区 鰊番屋まつり

北海道最北端に存在する松前神楽保存会である、小平町鬼鹿地区で、毎年行われている「鰊番屋まつり」で、松前神楽が行われた。
当てられた時間の都合で数座程度だったが、初めて鬼鹿の松前神楽を見ることができた。
onisika09_01.jpg
今回行われた場所は、北海道各地にある「鰊番屋」の中でも最大の大きさを持つのが、小平町鬼鹿にある「鰊番屋」であり、日本最北端の国指定重要文化財である。そういう所で行われる松前神楽は、雰囲気も最高だと思われる。ヤン衆達も見ていたであろう松前神楽が行われるのには、適した場所であろう。
↓「続き」をクリックすると続きます。


行われた神楽舞は、荒馬舞、福田舞、鈴上げ、獅子舞(御稜威舞・佐々良)が行われ、松前神楽の解説、舞いの説明も行われ、初心者でもわかる構成になっていた。
荒馬舞(松前遊)は、少年の舞いであり、松前の殿様が機嫌が悪い時に即興で行われた。それを見た松前の殿様も機嫌を直したという舞いである。今回は、少年4人で行われた。子馬が走る様を見るようであった。
onisika09_02.jpg
荒馬舞
福田舞は、大地を踏みしめ五穀豊穣を祈願した舞いである。
onisika09_04.jpg
福田舞
鈴上げは、天女が天降る様を表した舞いである。
onisika09_05.jpg
鈴上げ
獅子舞で最初に行われる、御稜威舞(みいつまい)が行われた。道南地方では、時間縮小のために五方舞から入り、佐々良になり終了となるが、最初に行われる舞いがこの「御稜威舞(みいつまい)」である。おおまかに各松前神楽保存会の「御稜威舞(みいつまい)」を見させてもらった。福島・小樽の流れを持つ「御稜威舞(みいつまい)」であった。今回は少ない時間の中の短縮した「御稜威舞(みいつまい)」だそうで、それでも見る方はやたらに行われない舞いが見れるだけでもいいのだ。
onisika09_06.jpg
獅子舞・御稜威舞(みいつまい)
onisika09_07.jpg
獅子舞・御稜威舞(みいつまい)
楽人も大御所の方、若手と入り交じり行われている。舞いの方は、若手中心に行われているようだ。
onisika09_09.jpg
楽人
佐々良、面足獅子(「めんたりしし」・「もたりしし」ともいう)が行われた。猿田彦が登場する舞いである。獅子を佐々良という道具を使い、猿田彦が獅子をからかい、獅子をなだめるという舞いである。
onisika09_11.jpg
佐々良・面足獅子
今回は、初めて鬼鹿の松前神楽を拝見した。最北の松前神楽が見れて良かった。
この地まで、松前神楽が伝えられたのは鰊漁の影響である。松前神楽は、日本海沿いに北上し伝えられた歴史があり、以前は利尻島にも行われていたらしいが、現在は行われていないらしいので、最北の松前神楽はこの鬼鹿であると言えよう。
「何でこの地で、松前神楽なの?」
という声も、歴史をたどれば理解できるだろうし、それも正しく伝えることが、その土地の歴史であり、言い伝えなければ各地の松前神楽も理解されないだろうと思われる。
ときたま、神楽舞終了時に聞こえた「よーそろー」の声に驚いたが、福島から流れた神楽と知っている方であろうと思われる方がそのような声も聞こえたのが、少し嬉しかった。
松前神楽にはやはり、
「よーそろー」
の掛け声がよく似合うし、拍手だけでは伝わらない労いの言葉であると感じられた。
 
 

-後志地方の松前神楽