渡島地方の郷土芸能

松前町 郷土芸能大公開 in 2010

5月2日(日)
昨年にも取材させてもらった松前町の「さくらまつり」で行なわれる、郷土芸能大会を取材した。
今年は桜の咲く時期がズレて、桜のない「さくらまつり」であるが、自然相手であるのでしょうがないであろう。けれども、この日の松前町は、雨まで降ることはなかったが曇り、いい天気とは言えなかった。
行なわれた郷土芸能は、月島奴振、松前祇園ばやし、江良杵振舞、白神タナバタ、松前沖揚げ音頭である。松前神楽は、行なわれていない。会場が、公園内と松前藩屋敷と2ヶ所行なわれた。
この日は、別に松前神楽が行なわれたので、後日に紹介したい。
月島奴振(つきしまやっこふり)が、公園内を練り歩く。この郷土芸能は、月島地区に代々伝承されたもので、松前藩の奥方が登城したときの奴振りが起源であると伝えられている。奥方らしい人が行列に参加して見せると、いいのではないだろうかといつも思う。
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月島奴振
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松前沖揚げ音頭は、ニシン漁をする漁師の労働歌である。ニシンをする行くところから歌が始まり、大漁で岸に戻るまでを歌で残っている。船漕ぎ唄」「網起し唄」「切り声」「ソーラン節(沖揚げ音頭)」「オーホイ節」「子叩き温度」の6つに分けて保存伝承している。厳しい自然と苦しい労働の中から大量の喜びを歌いあげた勇壮活発で景気の良い作業唄、それが沖揚げ音頭である。
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松前沖揚げ音頭
松前祇園ばやしは、松前城下の祭典の山車巡行の音曲であるといわれている。この祇園ばやしは、大太鼓、小太鼓、三味線、笛、鉦で、優雅な中にも華やかさのある曲である。
山車は無く、楽だけが行なわれている。山車あっての巡行の曲だろう。雰囲気を作って欲しいと思う。
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上2枚 松前祇園ばやし
江良杵振舞は、幕末に江良地区に伝承されたといわれている。南部七夕踊りの流れを組み、松前神楽の四箇散米舞(しかさごまい)の影響を受け、現在の形になったと考えられている。踊りは、笛・太鼓の囃子と「ヤレヤレ、ソラヤレ」のかけ声にあわせて踊り、現在もお祭りやイベントなどで披露されている。
四箇散米舞(しかさごまい)をアレンジしたものということは、見て感じられた。福島町での四箇散米行列では、先頭が江良杵振舞の杵を持ち行進する。活気のある舞いで、会場を盛り上げていた。子供等の杵を振る様は微笑ましい。
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上2枚 江良杵振舞
白神タナバタは、松前町字白神地区(旧炭焼沢村)に伝承されたと云われている。演技内容は、「太刀振舞(棒踊り・扇踊り)」「杵振舞」「荒馬」 の三種で、主に7月の白神・三社神社の祭礼に街頭で演技される。
大人から子供まで参加しており、その地区の協力体制が強く見られた。子供がヤセヤセを踊る姿は、微笑ましい。
福島町白符地区で行なわれている「荒馬踊り」に非常に良く似ている。隣町なので、それなりの影響があったと思われる。
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上2枚 白神タナバタ
松前町で郷土芸能を見られるのはこの季節だけだろう。あとはその地区の神社の例祭に行われる時だけと思われるので、毎年見に来ている。担い手不足の問題が見え隠れして、来年は見れるだろうかと少し不安になりつつあるが、こればかりは仕方が無い話であるのだが、継続はチカラである。なんとか継続させて欲しいと願うばかりである。

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